国立鶴岡工業高等専門学校
晶析工学研究室

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Research


鶴岡高専三上研究室では、晶析工学技術を軸に、
「材料」・「製薬」・「環境」

の分野で貢献する、先端化学工学研究を展開しています。


高品位固体製造に貢献する先進晶析工学研究 〜21世紀は固体創製の時代〜

  当研究室では,化学工学における単位操作のひとつである「晶析」を研究しており,粒径・形状・多形・純度などの結晶品質を装置内で自在に操作するための工学について考究しています.所望の品質をもつ結晶粒子群を製造するためには,核発生や結晶成長といった物理化学現象を装置内で非定常操作する必要があります.現象理解に基づく操作設計が大事であると考えており,装置内晶析現象を明らかにすることで,希望品位の結晶を晶析製造するための工学理論を提案します.


  単位操作・化学機械・スケールアップ等々,化学工学本来の考え方や研究手法を,今の時代だからこそ大切にしたいと考えています.21世紀はまさに固体創製の時代であり,「機械的単位操作」や「粉体プロセス」など,固体の加工や品質の操作を伴う工程が一層重要になると予想しています.晶析技術は,それ自身,固体製造としての機能を有する他,予め固体品質を調製することで,固体を扱う種々の工程における装置ハンドリングや操作性を支援する基盤技術として積極利用できます.

Key words: 工業晶析 固体品質操作 微粒子製造 医薬品プロセス 環境化学工学 粒子系単位操作


材料生産技術に貢献する先進晶析工学研究 〜単分散微粒子の反応晶析と素材製造〜

  粒の大きさや形状が一様に揃った「単分散微結晶」を工業生産することで,(1)飲み薬の粉が体内に取り込まれやすくなる,(2)粉の溶解速度が等しくなるため,体内の狙った位置で薬物を吸収させることができる,(3)液晶ディスプレイの液晶厚みを一定に保つことができる,(4)プラスチックやゴムの優れた充填剤(フィラー)になる,といった工業的利点が得られます.しかし,単分散微結晶を晶析製造する場合,化学反応を利用して非常に大きな過飽和度(結晶化の推進力)を原料溶液に対して与える必要があることから,本来,晶析装置内で安定的に操作されるべき過飽和度がどうしても過剰に高くなりやすく,装置内の過飽和度が制御不能となり,その結果,得られる結晶の大きさや形は不揃いでしかも凝集してダマになりやすいという,技術上の課題がありました.

  そこで本研究グループは,水溶性高分子電解質のポリエチレンイミンを予め原料溶液に添加・溶解させておき,ポリエチレンイミンが存在する溶液中で適切に晶析装置を操作することにより,「生成結晶間の凝集抑止」や「連続的な一次核発生の抑止」といった従来の技術的課題を克服し,CV10%未満の単分散微結晶を複数種物質(硫酸ストロンチウム・硫酸バリウム・硫酸鉛・単体金)にて再現良く晶析製造することに成功しました.さらに,晶析装置内におけるポリエチレンイミンの役割について調査した結果,ポリエチレンイミンは原料溶液中で原料の金属イオンと錯体を形成することで過飽和度を安定的に操作しており,単分散微結晶が得られやすい晶析環境場を形成していることを明らかにしました.

  ポリエチレンイミンは,元来,水処理分野における重金属捕捉剤やフロック(SS)の分散剤等として用いられており,ポリエチレンイミンがもつ性質を材料創製に積極利用した点に新規性があります.本研究の深化と完成に伴い,所望の結晶品質(粒径・分布・形状等)を得るための高分子電解質添加剤の選定(いかなる分子量・官能基・分子骨格の高分子添加剤を使えばよいか?)に関する新規な工学理論が提案できると考えています.


※さらに詳しい内容は,こちら


Key words: 反応晶析 単分散微粒子 ナノ結晶 無機素材 材料化学工学


製剤工学技術に貢献する先進晶析工学研究 〜有機医薬品の回分晶析と固形製剤化〜

  粒の大きさや形状が揃った単分散な粒径分布をもつ医薬品原薬を晶析製造するための工学理論を考究しています.医薬品結晶の大きさを揃えることで粉薬の溶解速度が等しくなるため,体内の狙った位置で薬物を吸収させることができます(薬物ターゲッティング).さらに,nmサイズまで結晶粒子を微小化することで,飲み薬の粉が体内で溶解・吸収しやすくなります(バイオアベイラビリティーの向上).
  
  とくに,回分晶析装置の物理的操作法に着目しており,温度プロファイルや貧溶媒添加速度を種々の操作パターンでダイナミックに変調させ,生成する結晶核の個数を自在に制御するための方法論を検討しています.そのほか,シード材結晶の添加操作やスケールアップに伴う結晶品質挙動の影響についても検討を進めています.
  
  固形製剤プロセスにおける単位操作のひとつとして晶析操作を位置付けできると考えており,本研究は,製剤化に特化した晶析工学理論を検討する点で独創的です.晶析される結晶品質を適宜制御することで,医薬品原薬の製品粉体としての品質向上や,晶析工程に続く種々の製剤化工程(粉砕・分級・混合・造粒・コーティング等)における装置ハンドリング性の向上が期待できます.

Key words: バッチ晶析 貧溶媒添加 固形製剤プロセス ナノ医薬 製剤工学


水環境技術に貢献する先進晶析工学研究 〜資源循環型排水処理プロセスの開発〜

  産業排水中に含まれる有害な重金属や希少な地球金属資源であるレアメタルを無害で純度の高い良質な高品位結晶(大きさや形が一様に揃っている単分散結晶)として排水中から晶析回収し,水をきれいにします.さらに,産業排水から取り出した高品位結晶は,埋め立て廃棄する必要が無く,充填剤(フィラー)や顔料等の素材としてリサイクルできます.
  
  現在,亜鉛めっき工程で排出される亜鉛含有排水からの亜鉛回収に着目しており,有害な亜鉛イオンを高品質な炭酸亜鉛結晶として晶析回収することで,環境省が定める処理水中の残存亜鉛濃度基準2 ppm以下の低減を目指しています.さらに,晶析回収した炭酸亜鉛結晶を焼成して酸化亜鉛(亜鉛華)を製造し,品質の良い単分散な白色顔料や複合材用素材として市場供給することで,亜鉛資源のリサイクル(資源循環)を目指しています.
  
  排水処理プロセスと材料製造プロセスをハイブリッド化し,これらをひとつの工程で同時達成する点が本研究のオリジナリティーです.実機を模倣した小スケールの反応晶析装置(2L程度)を作製し,種々の製造条件を工学的に検討することで,アイデアの実用化を探っています.

Key words: 環境晶析 無機排水処理 衛生工学 資源循環工学



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